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ムハメッド・アリの思い出

虫の知らせだったのか つい最近 ウィル・スミス主演の「ALI」を見たばかりだったこともあって 昨晩 訃報を見て いろいろな思いが駆け巡った。

 1976年6月26日 アリはアントニオ猪木との「異種格闘技戦」のために来日していた。6月20日の日曜日に銀座の歩行者天国を歩いていたアリと偶然にも遭遇して握手をしてもらったことがある。当時学生だった私は友人のH君と二人で銀座にいた。今となっては何故H君と一緒に銀座に行ったのかは思い出せない。たぶん生まれてはじめて「銀座の歩行者天国」を歩き、ものめずらしくあたりをきょろきょろ見ながら4丁目から8丁目に向かって歩いていた時、にわかに後ろのほうがざわついていることに気づき振り返ってみると、私たちのすぐうしろに、アリ声がいるではないか。少し距離をおいて群衆が取り囲み 輪になって ゆっくりと移動していた。私たち二人がその先導をしているかのように。H君が私の脇腹を突きながら「握手してこいよ」とささやいた。私はうんとうなづいて、180度体を翻し アリにむかって 手を差し出した。アリはにっこりしながら私の手を握ってくれた。手はそんなに大きいとは感じなかったが、暖かく、やわらかく、肉の厚さだけが印象に残った。私の後に続いてH君もアリと握手をした。それをきっかけに取り囲んでいた人たちも続いた。私たちはたちまち輪の外に押し出され、しばらくしてアリの姿が見えなくなってから、二人して声をあげ「やった、やった」とまだ温もりが残る自分の手をながめて「もう一生 この手は洗わないぞ」と

誓った。誓いはあっというまに敗れてしまったが今でも私の心に中にアリの暖かくやさしい手の温もりは残っている。