コンピュータとの出会い

生まれて初めてコンピュータに触ったのは二十歳すぎた頃だった。当時は大型コンピュータと呼ばれるものしかなく、FORTRAN(フォートラン)という言語で入力はタイプライターで紙テープを出力して、その紙テープを読み込ませるというという方法であった。この貴重な機会をくれたのは当時日本医大の学生親友H君である。H君が「うちの先生はバリバリ勉強家で心の広い人だから一度おいで」と誘われてのこのこ付いていった。30歳前後の若かりし時の秋山仁先生(数学者)であった。「学外の者ですがいいですか?」と挨拶したら「コンピュータに興味を持つことはいいことだ。」という返事もらい胸をなでおろした。初めての英文タイプライターに泣かされ、「これは俺に向いていない」と思い、折角の秋山仁先生の厚意も三日坊主で終わってしまった。

 まさか後年30歳からコンピュータの世界にのめり込んでいくとは夢に思わなかった。

父の会社で必要に迫られて、英文タイプライターで黒い紙テープを吐き出してNC機械に読み込ませる作業毎日やりながら、いよいよコンピュータの時代がくるなあと感じ夜学の職業訓練学校に通いCOBOLコボル)という言語を習った。この時は三日坊主に終わらず卒業できた。卒業できたのは30人中4名。あんなに必死に勉強したのはこれが最初で最後かもしれないと思っている。その翌年NECからPC98というパーソナルコンピュータが出てコンピュータ時代が始まった。もっとも私が購入したのはPC8801という安いほうの機種であった。ホビー用を使ってN88BASICでNCプログラムの自動プログラムを作った。自分がはじめて作ったNCプログラムでNC工作機械が動いた時は感動した。その感動が忘れらず今日に至っている。やはり「出会い」と「感動」は人生にとって大事なことである。